カーボンニュートラルと脱炭素社会を知ろう!

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こんにちは「大同至高」のライターチームです。
パリ協定をきっかけに、世界各国は脱炭素社会を目指して動いています。日本政府も「2050年にカーボンニュートラル・脱炭素社会の実現」との目標を掲げ、さまざまな政策や活動を展開しています。目標を達成し、世界的な気候変動を防ぐためには企業や個人の協力が欠かせません。

今回はカーボンニュートラルや脱炭素社会について、意味や重視されるようになった背景、国内で実施されている主な取り組みなどについて解説します。

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今話題の「脱炭素社会」とは?

今話題の「脱炭素社会」とは?

2020年10月、日本政府は「2050年にカーボンニュートラル・脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。また、パリ協定に基づき国連に対しては「2030年度までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減」する目標 を掲げています。なお、国連では「21世紀後半までにカーボンニュートラル実現」を目標としているため、2021年11月までに日本を含む150以上の国や地域がカーボンニュートラルを宣言しています。

二酸化炭素排出量ゼロの社会

日本政府が宣言した脱炭素社会とは、二酸化炭素排出量ゼロの社会のことです。しかし、人間や企業が活動すれば必ず二酸化炭素を含む温室効果ガスが生成されます。そのため、ここでの排出量ゼロとは、森林などで植物が吸収する量と相殺し、大気中への排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」を意味します。

脱炭素社会の実現のためには、政府はもちろん企業や人々の努力により二酸化炭素の排出量を抑えることが大切です。同時に、二酸化炭素の吸収量を増やすために森林保護や植林などを進めることも必要とされます。

脱炭素にまつわる似ている用語を比較解説!

脱炭素にまつわる似ている用語を比較解説!

環境問題や気候変動に関しては、脱炭素の他にもさまざまな用語が使われています。ここでは特に脱炭素と意味や使われ方が似ている以下の4つの用語について解説します。

  • カーボンニュートラル
  • 低炭素社会
  • カーボンオフセット
  • ゼロカーボン

脱炭素社会とカーボンニュートラルの違い

カーボンニュートラルとは、人間の活動によって産出される二酸化炭素を植物に吸収させて大気中への排出をなくすことや、そのような状態を指す言葉です。

カーボンニュートラルは、地球温暖化の主な要因である大気中の二酸化炭素を減らすことを目的としている点が脱炭素社会と共通しています。一方で、人間の活動によって産出される二酸化炭素をなくすことよりも、最終的に大気中へ排出される量をゼロにすることを重視する点は、脱炭素社会との違いです。したがって、カーボンニュートラルを実現する主なアプローチとしては、森林保護や緑化などがあります。

「脱炭素社会」と「低炭素社会」の違い

低炭素社会とは、二酸化炭素排出量が抑えられている社会を意味します。二酸化炭素排出量の削減を目指す点では脱炭素社会と同じである一方、排出量をゼロにすることまでは求めない考え方です。

脱炭素社会の考え方が広まる以前は、低炭素社会が国際社会の主な目標とされていました。しかし、2015年のパリ協定で盛り込まれた長期目標を達成するためには、二酸化炭素の排出量を減らすだけでは不十分であることが分かりました。そのため、現在では低炭素社会に代わって脱炭素社会が目標として掲げられています。

カーボンニュートラルとカーボンオフセットの違い

カーボンオフセットとは、個人や企業の行動によって生成された二酸化炭素を別のもので相殺し、大気中への排出をゼロにする考え方です。二酸化炭素を実質ゼロにする点ではカーボンニュートラルと似ています。

ただし、カーボンニュートラルは、個人単位や企業単位での二酸化炭素排出量を実質的にゼロにすることを意味します。一方、カーボンオフセットは、二酸化炭素排出量を相殺するために他者の手を借りる場合に使われることが多い用語です。カーボンオフセットの例として、二酸化炭素を多く排出する企業が、森林保護を行う団体に寄付することなどが挙げられます。

カーボンニュートラルとゼロカーボンの違い

ゼロカーボンとは「カーボン(二酸化炭素)の排出量を実質ゼロにすること」です。二酸化炭素の排出量および吸収量を相殺して実質ゼロにする点では、カーボンニュートラルとほぼ同じ意味です。

政府や企業の目標としては、カーボンニュートラルよりもゼロカーボンが使われる傾向にあります。環境省が推進する、脱炭素社会を目指す取り組みである「ゼロカーボンアクション」が代表例です。また、同じように二酸化炭素の排出量が実質ゼロであることを指す言葉には「ネットゼロ」もあります。

脱炭素社会やカーボンニュートラルが求められる理由

脱炭素社会やカーボンニュートラルが求められる理由

脱炭素社会やカーボンニュートラルが、これまで以上に必要とされている背景にはさまざまな地球環境の変化があります。ここでは二酸化炭素に代表される温室効果ガスの増加による主な影響を3つ紹介します。

地球温暖化の加速

二酸化炭素の排出量が増えることは、地球温暖化を加速させます。永久凍土が溶けたり海面が上昇したりといった事象は地球温暖化が原因です。1890年から2023年までの世界の平均気温データを見ると、年によって上下しつつも全体としては気温が上昇し続けていることが分かります。特に、1979年以降の気温上昇幅が大きいことから、産業の変化、技術の革新による二酸化炭素排出量の増加が理由として考えられます。

予測不可能な気候変動

地球温暖化は、予測不可能な気候変動を引き起こします。地球の平均気温が上昇することにより、大雨や暴風、洪水、干ばつのような異常気象が発生する頻度が増え、被害も拡大する傾向にあります。

気象災害により甚大な被害を受けた地域では、経済活動がストップすることが少なくありません。また、気温上昇や干ばつにより水資源の不足、感染症の増加といった問題が起きれば、多くの人々の生活に影響を与える恐れもあります。

食糧難の可能性

温暖化と気候変動により、農産物や水産物の収穫が減って食糧難が起こる可能性が指摘されています。作物に適さない環境になったり、動植物の生態系が変化したりすれば収穫量が減ることがあるためです。また、温暖化と気候変動の影響で、干ばつが起こる頻度が上がっています。

干ばつは、食料生産量が減少する原因の一つです。脱炭素社会やカーボンニュートラルが実現できなければ、温暖化や気候変動によって食糧難が引き起こされることは十分考えられます。

脱炭素社会のきっかけである「パリ協定」とは?

脱炭素社会のきっかけである「パリ協定」とは?

国連では、気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国の首脳や閣僚が一同に集う「気候変動枠組条約締約国会議」を定期的に開催しています。会議には気候変動家や企業、市民の代表なども参加し、気候変動を抑えるための方針などが話し合われます。会議の成果の一つであるパリ協定は、世界中のすべての国が従うべき指針です。

2015年12月に行われた会議

パリ協定とは、2015年12月に第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択された国際的な枠組みです。会議がフランスのパリで行われたことから名付けられました。

2020年以降の気候変動問題に関する目標を定めたパリ協定は、1997年に採択された京都議定書の後継と位置づけられています。パリ協定は、55カ国以上が批准する条件を2016年10月に満たしたことで、2016年11月4日に発効しました。

パリ協定で定めた目標

パリ協定では、世界各国に二酸化炭素削減目標が課されていることが特徴です。前身である京都議定書では、先進国のみが二酸化炭素削減に取り組むこととされていました。しかし、パリ協定では先進国に加えて発展途上国にも、それぞれの国の事情を踏まえた目標が設定されています。

日本は2013年度比で26%、2005年度比では25.4%の二酸化炭素を2030年までに削減することが目標です。また、2019年に閣議決定された「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」では、「脱炭素を最終地点」としています。

また、この他に世界全体の長期目標として「世界的な平均気温上昇を産業革命以前の2℃以内、できれば1.5℃以内に抑える」ことも定められています。

国内で実施される3つの取り組み

国内で実施される3つの取り組み

日本政府はパリ協定の他、「成長戦略としての長期戦略」や「2050年カーボンニュートラル」などを掲げ、脱炭素社会を目指しています。これらの目標を達成するために、国内ではさまざまな取り組みが実施されています。特に以下の主な3つの取り組みについては、内容を押さえておくとよいでしょう。

グリーン成長戦略

グリーン成長戦略の正式名称は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」です。内容は、日本が掲げている「2050年カーボンニュートラル」の目標達成と経済成長を同時に実現するための産業政策です。温暖化への対応をコストではなく成長の機会と捉え、成長が期待できる14の産業分野について、民間企業が挑戦しやすい環境を整備しています。具体的には洋上風力産業、自動車・蓄電池、物流・人流・土木インフラ産業などが対象です。

COOL CHOICE

COOL CHOICE(クールチョイス)とは、環境省が主導する脱炭素社会を推進するための取り組みです。日常生活の中で「賢い選択」を重ねることで、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを削減し、パリ協定で定められた目標の達成や脱炭素社会の実現を目指します。COOL CHOICEでは具体的な行動例として「温室効果ガス排出量の少ない製品への買い替え」「マイカー利用を減らして公共交通機関を使う」などが挙げられています。

カーボンプライシング

カーボンプライシングとは、二酸化炭素に価格を付ける仕組みのことです。企業の二酸化炭素排出量に応じて課税する炭素税は、カーボンプライシングを利用する例です。

また、カーボンプライシングは、カーボンニュートラルを実現する方法の一つである「クレジット取引」でも必要とされます。二酸化炭素の排出を抑える活動をしている団体などが、削減できた排出量に価格をつけたものをクレジットと呼びます。二酸化炭素の排出量が多い企業は、こうした団体からクレジットを購入することでカーボンニュートラルを実現できる仕組みです。

まとめ

カーボンニュートラルや脱炭素社会とは、地球温暖化や気候変動を防ぐための国際的な枠組みであるパリ協定をきっかけに広まった考え方です。日本を含む世界各国は、パリ協定の目標を達成するために温室効果ガス、特に二酸化炭素の排出量を実質的にゼロにすることを目指しています。

カーボンニュートラルならびに脱炭素社会の実現には、企業の協力が必要不可欠です。国内で実施されているさまざまな取り組みを参考に、自社に適した方法を実行しましょう。

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